牡丹と芍薬の花の違いは葉とつぼみにあり!画像で分かる見分け方!

女性の美しい立ち振る舞いや容姿を花に例えた、日本ならではの美しい比喩表現です。
この表現に出てくる花の中で、「百合」は想像しやすいもの。
では、「芍薬」「牡丹」はどうでしょうか。

その2つの植物は一見似ており、どちらもボリュームのあるふわりとした花を咲かせます。
色も様々な種類を有し、その見分けがつかないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんな牡丹と芍薬の花の違いを、わかり安く画像を交えてご紹介します。
日本で暮らしていく中で、「花の知識」は知っていると少し日常が豊かになるかもしれません♪



一見似ているけど違う牡丹と芍薬

よほど花に詳しい人でなければ、見間違えてしまう花も多いもの。
中でも牡丹と芍薬は似通った点も多く、間違えやすい花の代表格です。

ちなみに、両者の花言葉はいくつかある中、「恥じらい」という共通点があります。
他にも、

牡丹…風格、富貴、壮麗
芍薬…慎ましさ、はにかみ(ピンク)、幸せな結婚(白)

のように、牡丹はその堂々とした姿からついた王者の風格を思わせる言葉が、芍薬はその可憐なイメージから女性らしさを思わせる言葉が選ばれています。

さらに、英語圏での牡丹と芍薬は、両方「Peony(ピオニー)」と訳され、両者同じものとして捉えられています。

では、実際に両者を見分けるポイントを見てみましょう。
ふと道端で見かけた花が、どちらかわかるようになるのも素敵です♡



▲ 目次に戻る

画像で分かる見分け方!

こちらの画像を見てみましょう。
牡丹と芍薬の違いが最もわかり安いとされているのが、「葉」の形です。
画像右側の牡丹の葉は、先が分かれてギザギザとしています。
また、質感も少しカサカサとしており、専門用語で「羽状複葉」と呼ばれます。

それに対して左側の芍薬の葉は、全体がつやつやとした質感。
濃くはっきりとした緑色で、牡丹と比べてサイズもやや大きめです。
こちらは「二回三出複葉」と呼ばれており、言われてみるとしっかり違いがわかります。

こちらが牡丹の葉↓


 

こちらが芍薬の葉↓



つぼみ

では、次に「つぼみ」に目を向けてみましょう。
つぼみが見られる時期は、開花の時期の少し前。
画像で比較すると、こちらも違いがわかり安いです。

こちらが牡丹のつぼみ↓


 

こちらが芍薬のつぼみ↓


 


牡丹のつぼみの方が、先端がピンととがっていますよね。
これはバラのつぼみにも似ています。
それに対して芍薬のつぼみは全体的に丸く、コロンとした形状であることがわかります。

また、芍薬のつぼみからは蜜が出ているので、うっすらと光ってキレイに見えます。
うっかり触ってしまうと、かなりべたべたとしているので要注意。



それでは、今まさに咲き誇っているそれぞれの花から違いを見出すことはできるのでしょうか?
こちらが両者の花の画像です。

牡丹の花がこちら↓


 


 

芍薬の花がこちら↓


 


 

これを見ると、どちらも美しい花びらの中に「おしべ」と「めしべ」があるのがわかります。
これは牡丹の方がよりわかり安く、中心にあるのがめしべ、それを取り囲んでいるのがおしべです。

芍薬の方はというと、めしべもおしべも黄色く1か所に集まっている為、あまり違いが明瞭ではありません。



木か草か

先にも述べたように、芍薬よりも背の高い牡丹は実は「木」。
詳しく言うと「落葉低木」にカテゴライズされる牡丹は、成長しきると1m~2m程の大きさになります。

それに対して芍薬は「多年草」と呼ばれる「草」の仲間。
成長しても50㎝~60㎝ほどと一回り小さいのが特徴です。

こちらは牡丹の木↓


 

こちらは芍薬↓



散り方・枯れ方

そうして美しい花の時期が終われば、最後には散ってしまうのが花の運命。
ここでも、大きな違いを見ることができます。
まずは両者を比べてみると、

こちらが牡丹の散り方↓

 

こちらが芍薬の散り方↓

牡丹の花が散るときは、花びらが1つひとつ、少しずつ落ちていきます。
辺りにぽとりぽとりと散る花びらを見ていると、少し物悲しい気分にもなってしまいますね。

一転して芍薬の花は、全ての花びらが一斉に散ります。
その様子は豪快であり、時には花ごと落ちてしまう場合も。
このタイプで有名なものに「椿」の花がありますね。
そんな様子から、入院の御見舞に芍薬の花を持っていくのはNGとされているマナーも生まれました。

とはいえ、どちらの花も散った後の地面も各段に美しいもの。
まるで絨毯をひいたかのような光景が広がります。

こちらは牡丹の絨毯↓


 

こちらは芍薬の絨毯↓

また、あっという間に花の形がなくなってしまうことから、両者の散る様子を「崩れる」と表現する場合も。
美しさの象徴でもあり、それが簡単に崩れてしまうことで儚さを表現するわけです。



枝分かれの有無

冒頭に述べた、女性の美しさを植物に例えた比喩表現。
これは、牡丹と芍薬の枝ぶりの様子からその理由を知ることができるのです。

「立てば芍薬」の言葉通り、草である芍薬はまっすぐに茎を伸ばし、その先端に花を咲かせます。
その凛とした佇まいが、女性の美しい立ち姿にも似ていることからきた言葉なのです。

こちらは芍薬↓

そして「座れば牡丹」。
牡丹は木ですので、丈夫な枝には「幹」があり、そこからどんどんと枝分かれをしていきます。
枝分かれをするたびに横に広がるため、他の樹木に比べると高さは低いまま。
その姿がしとやかに座る女性の落ち着きを表しているとされています。

こちらは牡丹↓


 

冬の越し方

そして牡丹は木であるため、花や葉が全て落ち切った後も幹や枝は変わらず残り、そのままの姿で冬を迎えます。
そうして暖かくなると、新たな芽が枝から顔を出し、春の訪れを感じさせてくれるのです。

こちらは牡丹↓

芍薬は根だけを地中に残したまま冬になると枯れてしまいます。
地上には何も残りませんが、しっかりと春に新芽を出して来るのでご心配なく。
冬でも、牡丹と芍薬を見分けることができそうです。

こちらは芍薬↓



▲ 目次に戻る

その他の見分け方!

大きさ・高さ

一般的には牡丹の方が、芍薬よりも大きく、背も高い植物です。
しかし最近は品種改良が進み、様々な色や形の牡丹や芍薬が登場してきました。
そのため、小さくて可愛らしい花をつける牡丹も、大きく堂々とした芍薬も次々に人気となり、花の大きさで比べることは一見難しくなりました。

こちらは牡丹の花↓


 

こちらは芍薬の花↓


 

開花時期

牡丹の花が咲くのは、4月~5月の晩春。
ゴールデンウィークを挟むことも多く、各地で牡丹の鑑賞会も開かれています。

これを追いかけるように咲き始めるのが芍薬の花。
おおよそ5月~6月に咲くとされています。

これも品種改良によってさまざまな時期に咲くものが開発されており、開花時期で両者を見分けるのは段々難しくなってきています。

また、俳句をたしなむ人ならご存知の方も多い「牡丹」や「芍薬」といった言葉は、夏の季語としても有名。
中でも有名な俳人「正岡子規」の詠んだ、
「いたづらに 牡丹の花の 崩れけり」とは、むなしく牡丹の花が落ちる様子を切なく思って詠んだ歌とされています。

話は逸れますが、「寺田寅彦」の詠んだ、
「芍薬を 牡丹と思ひ 誤りぬ」なんていう俳句も。
昔の俳人たちも見間違うほど、牡丹と芍薬は似ているんですね。

香り

花と言えば香りを楽しむ人も多くいます。

牡丹の花は特に何の香りもしないのに対し、芍薬の花はバラにも似た甘く女性らしさを感じさせる香りを放っています。

芍薬を切り花としてお部屋に飾った際も、部屋を優しく包む甘い香りを楽しむことができるんだそう。
開花時期には花屋さんをチェックしてみるのもいいかもしれませんね♡


 

ちなみに、フランスではワインの香りを形容する際に「芍薬の香り」と表現する、素敵な風習があるそうです。
ワインと言えばその豊潤な香りも楽しむポイントの1つ。
世界各国で芍薬の花の香りが楽しまれているのです。



▲ 目次に戻る

まとめ

普段生活する上で目にしてきたあの花、次に通りかかる時には「牡丹」なのか「芍薬」なのか、見分けることができそうですね!

ぜひ、それぞれの花の特徴を知った上で、日本の四季を楽しんでみてくださいね。