インドの西の海上に先週、発生したサイクロン「キャー」。
名前に劣らず、恐ろしいサイクロンが発生しました。
キャーはミャンマー語が由来で、トラを意味するといわれています。
現在は勢力が若干弱まっていますが、最大時の勢力は916ヘクトパスカル。サイクロンのなかでは最も強いスーパーサイクロンにまで発達しました。
▼日本に大きな被害をもたらした先の台風19号(ハギビス)が猛烈な勢力だったときが
- 中心気圧915ヘクトパスカル
- 最大瞬間風速75m
でしたのでほぼ同等の勢力だと言えます。
ということで、今回は、
- スーパーサイクロン(キャー)2019は観測史上最強の勢力か?
- Windy(ウィンディ)によるスーパーサイクロン(キャー)の情報について
- アメリカ軍(米軍)の進路予想
- 最強クラス (世界観測史上最も低い中心気圧)の台風と比較してみた!
をまとめてみました。
目次
スーパーサイクロン(キャー)2019は観測史上最強の勢力か?
スーパーサイクロン(キャー)の中心気圧は一時915hPaまで下がりましたが、これはアラビア海のサイクロンの中では、観測史上最も低い気圧です。
これまでの記録は、2007年に発生したサイクロン・ゴヌ(Gonu)で、その気圧は920hPaでした。このゴヌ(Gonu)の直撃を受けたオマーンでは少なくとも49人が死亡、行方不明者多数、数千人が避難生活を送ることとなりました。
また、生活基盤も深刻な被害を受け、ゴヌ(Gonu)はオマーンに上陸後、大洪水を引き起こし、オマーン史上最悪のサイクロンとして記録されています。
このとき街を襲った海水の高さは、サージ(高潮)による 2mほどの水位上昇に,更に 2 mほどの高波が加わり最大で 5mほどになったことが紹介されています。
Windy(ウィンディ)によるスーパーサイクロン(キャー)の情報について
ECMWF(ヨーロッパ中期予報センター)の予報を基にしたWindyの情報です。風の動きが視覚的に見えて、便利ですね。
下の▶︎のバーの任意の場所をクリックすると、その時表示している情報(右上:現在「風」に設定:ほか雨、雷、気温、雲、波など)がピンポイントで3時間毎に最大10日分表示されます。
地図の拡大縮小も可能です。
スーパーサイクロン(キャー)2019年のアメリカ軍(米軍)の進路予想図
10月29日(火)21時に発表されたアメリカ軍(米軍)の進路予想図です。
アメリカ軍(米軍)は、JTWC:米国海・空軍合同台風警戒センターの情報です。
進路を見ると幸いなことにアラビア半島に上陸する可能性は低いのではないかと思われます。また、勢力も弱まると予想されています。
2019年10月29日21時更新
JTWC表記 | 日本時間 | 最大風速 |
---|---|---|
29/12Z 105KTS | 10月29日21時 | 55 |
30/00Z 105KTS | 10月30日9時 | 55 |
30/12Z 100KTS | 10月30日21時 | 50 |
31/00Z 90KTS | 10月31日9時 | 45 |
31/12Z 75KTS | 10月31日21時 | 40 |
01/12Z 55KTS | 11月1日21時 | 30 |
02/12Z 45KTS | 11月2日21時 | 23 |
03/12Z 40KTS | 11月3日21時 | 20 |
最強クラス(世界観測史上最も低い中心気圧)の台風と比較してみた!
海上において観測史上世界で最も低い中心気圧を記録した台風は、1979年(昭和54年)10月に発生した
昭和54年台風第20号(国際名:チップ〔Tip〕、フィリピン名:Warling)
です。
中心気圧870ヘクトパスカル、最大風速70m/sを記録しました。
この台風は日本列島を縦断して全国に影響を及ぼし、北海道にも甚大な被害をもたらしました。
サイクロンと台風とハリケーンの違いは?
ところ変われば、名前も変わるもので、台風は発生場所が異なると名称も変わります。大きく分けると、
- 日本近海など太平洋北西部や南シナ海で発生するものが「台風」
- 太平洋東部、大西洋、カリブ海、メキシコ湾で発生するのが「ハリケーン」
- インド洋(アラビア海含む)でできるのが「サイクロン」
です。
スーパーサイクロン(キャー)2019は観測史上最強の勢力か?アメリカ軍(米軍)情報も!最強クラス(世界観測史上最も低い中心気圧)の台風と比較してみた!のまとめ
現在、アラビア海における観測史上最強のサイクロン (キャー)が発生していますが、今年はアラビア海で記録的なサイクロンが発生しています。
2019年3月には「イダイ」がモザンビークに上陸したことによって、アフリカ南部に死者行方不明者3,000人を超す、「南半球史上最悪の自然災害」を引き起こしました。
さらに翌月には同じくモザンビークに「ケネス」が、同国の観測史上最強の勢力で上陸しています。
また、2018年もサイクロンが多発、5月にオマーンに上陸した「メクヌ」により、オマーン第二の都市サラーラでは4日間で600ミリを超える大雨が降り、洪水や土砂災害が多発しました。
Cyclone Mekunu has battered Socotra off the coast of Yemen and has made a bit of a mess of Salalah in southern Oman. Cat 3 downgraded in the last hour to Cat 1. pic.twitter.com/SoDZ9ZZv1Z
— @BeckyGEdu (@Bex2018Geobex) May 26, 2018
日本だけでなく世界各国でも大規模災害が発生しています。
このような大規模災害が頻発している状況に対して、専門家の意見としては、「アラビア海の海水温は近年上昇傾向にあって、今後ますます強いサイクロンが発生する可能性がある」と述べています。
日本国内でも、強い台風が上陸することはほとんどなかった北海道にまで、台風が勢力を維持して移動するなど、自然災害のリスクが年々増大しています。 地球温暖化と台風、地球規模で何か大きな異変が進行しているのは間違いないと思われます。